
サーバーは大きな負荷が生じることもあり、放置しているとさまざまな不具合が発生してしまう可能性があります。そのため、適切なタイミングでリプレースを実施することをおすすめします。この記事ではサーバーリプレースを検討すべきタイミングや判断基準、そしてリプレースの全体的な流れや手順についてくわしく解説します。
サーバーリプレースの目的
サーバーリプレースをするおもな目的は、ハードウェアの老朽化によって発生するトラブルを未然に防ぐことにあります。サーバー内部に搭載されているCPUやメモリ、ハードディスクなどは、長期間の使用によって徐々に劣化していきます。これにより、処理速度の低下や予期しないエラー、システムの不具合など、業務に支障をきたす問題が生じる可能性が高まります。とくに業務の中核を担うシステムではこうしたトラブルが業務全体に深刻な影響を与えることもあるため、事前に対策をしておく必要があります。
また、ハードウェアの性能が時代遅れになることで新しいOSやソフトウェアへの対応が困難になり、最新のシステム環境を導入できなくなることもあります。
さらに、古いソフトウェアはサポート終了により更新が止まり、セキュリティの脆弱性を突かれるリスクが高くなります。これらを防ぐには一定の期間ごとにサーバーをリプレースし、常に安定したシステム環境を維持することが重要です。
サーバーリプレースを行うべきタイミング
サーバーのリプレースを行うタイミングとして、一般的に5年がひとつの目安とされています。多くの企業が5年ごとにサーバーを更新している理由は税法上で定められた耐用年数にあります。国税庁の規定ではパソコン以外の電子機器の法定耐用年数は5年とされており、これにもとづいて減価償却も完了するため、更新のタイミングとして適していると考えられています。
サーバー導入から5年が経過している場合は支援会社などに相談したうえでリプレースを検討するとよいでしょう。ただし、5年を過ぎても問題なく稼働しているサーバーもありコスト面や予算の都合でリプレースを先延ばしにするケースもあります。
負荷の少ないシステムや高性能を求めない用途であれば、5年での更新が必ずしも必要とは限りませんが、ソフトウェアのサポートやメーカー保守が終了してしまうと、不具合が起きた際に適切な対応ができなくなる可能性があるため注意が必要です。
また、24時間稼働が続くシステムや処理速度を重視する業務用サーバーなどは、5年未満でのリプレースが望ましいケースもあります。サーバーの使用状況や役割に応じて、適切なタイミングでの更新を検討しましょう。
サーバーリプレースの手順を紹介
サーバーリプレースは次のような手順で行いましょう。現状の課題確認
サーバーリプレースをする際、まずは現状の課題を明確にすることが重要です。現在使用しているサーバーの老朽化や性能不足、セキュリティ面の不安などの技術的な問題に加えて使い勝手の悪さや処理速度などの運用上の課題も洗い出しましょう。実際にサーバーを利用している各部署のスタッフからていねいにヒアリングを行うことも効果的です。リプレース後のシステムに求められる条件を明確にすることによって実用的で効果的な導入計画を立てることができます。
計画と要件定義
課題の洗い出しが終わったら、サーバーリプレースの計画と要件定義を行います。移行対象や業務への影響を明記した計画書や提案書を作成し、方向性を明確にしましょう。要件定義では必要なサーバー台数やスペック、バージョン、使用するOS・ソフトウェア、周辺機器などを具体化します。また、将来の業務拡大やデータ増加も見据えた構成にすることをおすすめします。
見積もりと資金の確保
複数のメーカーに見積もりを依頼し、内容を比較して最適な提案を選びましょう。導入費用だけではなく、運用や保守費用を含めたトータルコストを見積もることが重要です。性能に余裕をもたせることは大切ですが、ハイスペックすぎると予算を圧迫する恐れがあるため、業務に適したスペックを見極めて無駄のない計画を立てましょう。また、計画と同時に資金の確保も必要不可欠です。
システム設計
見積もりと資金の確保ができたらシステム設計を行いましょう。要件定義にもとづいて新しいサーバーの構築を進める必要があります。ホスト名やIPアドレスなどを変更すると接続している端末側の再設定が必要になるケースがあります。そのため、業務への影響や作業負担を軽減するためにも可能な限り旧サーバーの設定内容を引き継ぐことが望ましいといえます。スムーズな移行を意識した設計を行いましょう。